常不軽菩薩の仏道修行は、相手を言い負かすための説法ではなく、相手の前で頭を下げるという行動化された実践に核心があります。その核になる言葉が、いわゆる「二十四文字の法華経」です。
原文と直訳
我深く汝等(なんじら)を敬う あえて軽慢(きょうまん)せず
所以(ゆえん)は何(いか)ん 汝等・皆な菩薩の道を行じて
当(まさ)に作仏(さぶつ)することを得べし
───原文(常不軽菩薩品 第二十・抜粋)
而(しか)も是の比丘 専(もっぱ)らに経典を読誦せずして 但(た)だ礼拝を行ず。
───原文(常不軽菩薩品 第二十・抜粋)
※ホントに24文字です。
我(1) 深(2) 敬(3) 汝(4) 等(5) 不(6) 敢(7) 軽(8) 慢(9) 所(10) 以(11) 者(12) 何(13) 汝(14) 等(15) 皆(16) 行(17) 菩(18) 薩(19) 道(20) 当(21) 得(22) 作(23) 仏(24)
直訳:「わたしはあなたがたを深く敬い、決して侮蔑しない。なぜなら、あなたがたは皆な・菩薩道を行じ、必ず仏となるからだ。」
通釈と実践的意訳
通釈:「わたしはあなたたちを侮蔑しません。なぜなら、あなたたちには仏種が宿っているからです。あなたたちは、全員、菩薩道を実践して、遠い来世においてかならず仏果を得ることになるのです。もうそういう未来が決まっているのですよ」
実践的意訳:わたしは、あなたを「リスペクトには値しない人間」としてはみなしません。
あなたが今どう見えていようと、あなたは仏果成就に至る軌道の上に載っている。
だからわたしはあなたをリスペクトする。ただし、議論ではなく、礼拝という行動化で。
解説
この「二十四文字の法華経」と呼ばれるものは、妙法蓮華経の常不軽菩薩品に説かれるものです。
お釈迦さまが過去世において、ただひたすら他の修行者の仏性を敬って、礼拝の修行しかせずに「常不軽(じょうふきょう)」というあだ名で呼ばれていたとき、相手に投げかけていた言葉です。
注目点は、常不軽が「経典の読誦」を中心に据えず、礼拝という行動化に修行を省略していることです。
「専らに経典を読誦せずして 但だ礼拝を行ず」──これは、「生きとし生けるものには皆、仏性がある」という思想面ではなく行動の側に賭ける態度表明なのです。
この礼拝行は、相手を気持ちよくさせるためのテクニックではありません。実際、相手は反発し、悪口中傷し、暴力に及ぶ場面が説かれます。
此くの如く多年を経歴(きょうりゃく)して 常に罵詈せらるれども 瞋恚を生ぜずして 常に是くの言を作す
汝・当に作仏すべし是の語を説く時 衆人・或いは杖木瓦石を以て 之を打擲(ちょうちゃく)す
───原文(常不軽菩薩品 第二十・抜粋)
それでも常不軽は瞋恚を生ぜず、言葉を変えず、距離を取りながらも唱え続ける。
アンガーマネジメントとして「二十四字の法華経」を実践するには
この「二十四字の法華経」を宗教的実践とは別に、今の時代で、アンガーマネジメントの一つの手法として実践するなら、難しくしないことです。
トリガー:相手を見下げる言葉が喉まで出かかった瞬間
手順:
1.コンマ5秒止まる(反射で返さない)
2.心のなかで一度だけポイントとなるフレーズを繰り返す
「我・あえて軽慢せず」(わたしはこの人を見下げるようなことをしない)
「まさに作仏することを得べきがゆえに」(どんな人にも仏性があるのだから)
3.そのまま「態度」を変える(声量を下げる・語尾を柔らげる・相手の発言を要約して返すetc…)
ここまでやれば、少なくとも「悪口中傷で関係を壊す」ベクトルは働きにくくなります。
Let’s try!



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